「リョウとそっくり。お母さんは残念だったわね」父の名前を言ったことはわかった。やっぱり父のことを知っている人たちなのだ。
アンナが他の人を順番に紹介してくれるが、そもそもポーロ家のことがわかってないので、覚えられない。それに父の名前が出て、少しパニックになってしまった。京子に目で促してもう一度招待された理由を聞いてもらう。その回答は、驚くべきものだった。
「ケン、あなたはポーロ家の人だからよ。リョウがそうだったように、その息子のあなたは、私たちの遠い親戚なのよ」京子も通訳しながら、信じられないといった顔をしている。
「どうして、そんなことがわかったのですか?」下手な英語で直接聞いてしまう。
「リョウが、それを調べて私たちに証拠を見せたのよ。最初は信じられなかったけど、マルコが残したものと多くのことが一致したので信じたわ」
父も僕もマルコ・ポーロの血を引いている、こんなあり得ないことが信じられるだろうか?
1人の男が近づいてきた。「はじめまして。僕はセバスチャン。よろしく」彼は、このパーティーに出席している中では一番若く、僕よりは3歳年上で実業家だそうだ。青い目で、背も高く、まるで映画スターのようだ。
そのあとの話で色々なことがわかった。父が死ぬ前に、毎年このパーティーに出ていたこと。そして僕の話もしていたためポーロ家の人は僕という存在を知っていたこと。父が亡くなってから母が招待状は送らないでくださいとお願いしていたこと。そして今回、母が亡くなったことを知って招待状を送ったこと。
しかし、ここまで聞いても、信じることができないというか受け止めることができず思考が止まってしまった。あっという間の2時間だった。食事も酒も喉を通らず、再会を約束し挨拶をして帰ろうとすると、アンナが名刺を僕に渡し、僕の連絡先をメモに書かされた。
帰りの車の中、一言も京子とも話せずいた。京子も驚いたのか、それとも疲れたのかぐったりしていた。
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