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ついにポーロ家のパーティーの日が来た。僕は着慣れない紺のスーツ、京子はピンクの華やかなドレスに豪華な首飾り。フォーマルなドレスを着慣れている京子と僕とでは釣り合わない感じがして、一緒に歩きたくない。そんなことを考えていると、ファビオが車で迎えにきてパーティー会場に着いた。

ゴージャスなイタリア建築の建物で、年季が入っている感じだ。

「ケンさん、3階にエレベーターで上がってください。皆さま、お待ちかねです」

ファビオはそう言って、僕と京子をエレベーターに乗せ、3階のボタンを押す。

「終わるまでここにいますので、それでは楽しんできてください」

3階に上がると、ウェイターが扉を開けてくれる。暑くもないのに、体中から汗が噴き出してきた。自分の心臓の音がわかる。さすがの京子も緊張しているのか表情が硬い。

扉が開くとパーティードレスやスーツで着飾った男女が目に飛び込んでくる。

赤い華やかなドレスを着た女性が近づいてきた。

「ケンですか?」と英語で聞かれ「そうです。こちらは友人の京子です」と紹介する。

「京子です。ご招待いただき、ありがとうございます」と京子は流暢な英語で挨拶する。

「私はアンナです」

「京子、なんで招待されたか聞いて」

「アンナさん、健がなぜ招待されたのか聞きたいと言ってます」

アンナに笑顔で「焦らないで、奥に入ってください」と促され、歩きだす。全員で15人いる。奥の席に、おばあさんがいる。名前はマリアというそうだ。とても上品で優しそうだが、威厳もある。

「ケン?」とマリアが言うとハグしてくる。親しみを感じているようだ。なぜだろう。