また無防備な状態で誰かに急に頭をたたかれると、とっさに手を挙げて相手をさえぎろうとし、顔を反対側に向けるなどもある。これらの素早い反応性の(反射的ともいえる)動きは、脊髄反射とはちがい、大脳皮質を経由した反応性の動きである。

反応に関係した大脳皮質の領域が少ないほど、反応にかかる時間は短いとも考えられる。顔を何かで刺激され、頚をその刺激から遠ざかるように回転しつつ上肢をその方向に突き出すという動きについては後述する。

熱いお湯の入った茶碗にさわって、急に手を引っ込める素早い動きも、大脳皮質を経由する反応性の動きといわれる。

半随意運動

またじっと座っていて、肩が張ったときに肩を動かす、皮膚のかゆいところを掻(か)く、鼻をすするなどの内的な欲求によって行われる動きは、「半随意運動」といわれる。これはほとんど自動的にというか、無意識的に行われているが、随意的に動きをおさえることができる。

自動運動

「自動運動」に関して、自分で動かすという意味のものではなく、動きに意識を必要としない、あまり意識しなくても自動的に動けるという意味での「自動運動」がある。

これには咀嚼や嚥下のような動きがあり、また歩行は、歩きはじめは意識したとしても、歩いているうちに、次第に無意識的、自動的となる。これには歩行中枢が関与しているといわれる。一般には「動きの自動化」という現象がある。

「動きの自動化」には意識(または注意)の容量の配分が関係する可能性がある。つまり他のことに意識(または注意)が向いていて、そちらに意識の容量がたくさんとられていると、今行っている動きに対しての注意の配分が少なくなり、動きが無意識となると考えられる。

ただこの場合、真に100パーセント無意識なのか、たとえば数パーセント程度は意識されている(?)のか、動きが一瞬意識されたとしてもすぐ他の内容に移行するということなのか、意識内容というのは複雑で多彩で時々刻々と変化し、動きとの関係も解釈は難しい。

 

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