2.3 生体のリアルタイム計測

自身の中で生まれる本能や社会的本能を可視化する力

カメラで自律神経の状態や感情を計測する

津村:マインドフルネスは自分で気づきを得ますが、私の研究ではカメラなどの計測(参考図書1)により気づきを支援します。せっかくですので、少し紹介させてください。カメラを用いた生体のリアルタイム計測は非常に興味深いテクノロジーです。これは、カメラが捉える画像を解析することで、生体のさまざまな情報を得る方法です。

学生:具体的にはどんな情報が得られるんですか?

津村:例えば、顔の表情や心拍数、血圧、体温など、さまざまな生体情報がカメラを通じてリアルタイムで計測できます。顔の表情解析を行えば、感情の変化やストレスレベルを推定することが可能ですし、顔動画像から心拍数や血圧を計測すれば健康状態を把握することができます。

学生:それはすごいですね。顔動画像から心拍数を計測するなんて、いったいどうなるのか想像できません。どうやってカメラでそんな情報を得るんですか?

津村:カメラが捉える画像には、顔での光の反射や吸収のパターンが含まれています。例えば、顔の表面からの光の反射パターンを解析することで、血流の変化から心拍数や血圧を推定することができるんです。

学生:顔の表面からの光の反射パターンになぜ心拍数などの情報が入るのですか?

津村:心臓が拍動すると、全身に血液(ヘモグロビンなど)が送られます。この心臓の拍動の圧力は体中に波のように伝播します。皮膚の色としては私たちの目に見えない程度のわずかな変化量ですが、顔の皮膚の色は心臓の拍動からの波の影響を受けて、ヘモグロビンの多い状態と少ない状態の間を波打ちます。

最近のカメラの計測精度が向上(感度の向上)したことから、カメラによってこのわずかなヘモグロビンによる色の変化を捉えられるようになっています。

学生:心臓の拍動によりヘモグロビンによって皮膚の色がわずかに変化するということですね。

津村:その通りです。ヘモグロビンによる色の変化から、その波のもととなる心拍の波形を求めて、その波形のピークの数から心拍数を計測しているのです。スマホのカメラ、PCのカメラなどから人の心拍数などを計測できる時代に私たちは生きています。

カメラでは、同時に顔の表情なども計測することが可能となりますので、心拍数のようなバイタルのレイヤーだけでなく、感情のレイヤーで人間を計測することが安価なカメラで可能となります。

学生:すごいですね。カメラで計測された表情から感情も計測できるのですね。

津村:感情の計測には表情の情報(計測)だけでなく、心拍の計測も実は重要です。心拍の間隔(心拍数の逆数)は、自律神経(交感神経、副交感神経)に影響を受けて揺らいでおり、その揺らぎを心拍変動と言います。この心拍変動のレベルを解析することで、交感神経が優位か、副交感神経が優位かなどの自律神経の状態を計測できます。

学生:カメラだけで自律神経の状態を計測できるとはびっくりしました。


1.シンプルな色補正方法で遠隔診療の高品質化を実現!  スマホ動画からリモートでバイタル情報を取得、2020年9月28日 ニュースリリース 千葉大学等

https://www.chiba-u.ac.jp/about/files/pdf/20200928enkaku.pdf

 

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