【前回記事を読む】亡き長男が通っていた小さな小料理屋へ。息子はいつもカウンター越しに、「大将、頑張ろうよ」と声をかけていたそうで…

元気発進Ⅰ  00/11/20−01/03/27 

送信メール:元気発進 50号
送信者:永吉 大洋
宛先:《中川町役場》
送信済:01/02/06 午前8:51

昨日の夕方、環境に優しい街づくりを目指すエコ先進地研修を終えた四国グループ、九州グループ合わせて総勢10名が、帰町の挨拶に見えました。

私は大事な予算協議の最中でしたので、15分ぐらいの予定で中座するつもりでしたが、研修から戻ったばかりの皆さんの熱気にすっかり圧倒されて、40分も時間をオーバーしてしまいました(笑)。

内子、宇和、そして御所浦、小国、それぞれのエコ先進地域で学んだことや体験したことを、今後の我が町の自然や暮らしに優しいマチづくりの展開に、ぜひ生かしていただきたいと熱い口調の帰町挨拶を受けながら、夢が大きく膨らんでいくように感じました。

報告会が、とても楽しみです。

昨日の午前中、Tさんのお別れ会に参列してまいりました。喪主であるご主人のご挨拶は、奥さんとの出会いや自分の人生観を含め、しみじみとした語り口の中に、愛情溢れる、気品を感じさせる素晴らしいものでした。

深く、深く心を打たれました。

「家内は、この中川が大変好きでした」

新規就農で先に移住していた娘さん夫婦を頼って、大阪から奥さんとともに、転地をしてきたご主人のこの言葉に、何かしらホッと救われる思いがいたしました。

ベートーベンのバイオリンソナタ第5番「春」の調べが静かに流れるなかで、献花をしながら残されたお父さんに幸あれと、祈らずにはおられませんでした。

昔、もう30年も前になります。

皆さんは、「家族」という映画をご存知でしょうか? 倍賞千恵子、井川比佐志、笠智衆の出演で、監督は、あの「男はつらいよ」の山田洋次さんです。

筑豊で職を失った一家が、はるばる北海道に新天地を求めるというストーリーです。不安と期待と様々な思いを込めて、道東の中標津に到着した一家は、その夜、地域の人々から、思いがけず温かく迎えられました。

新しい大地で、つつましいけれど自分たちの生活が、さぁこれから始まる……という次の日の朝、笠智衆演じる老人は、静かに眠るように亡くなるのです。

あたかも新しい生活に挑む息子夫婦に、未来を託すかのように!

生きるということ、死ぬということ、新しいということ、古いということ、人間は何を託され、そして何を託していくのかなどなど、Tさんのお別れ会の帰り道、様々な思いが胸を駆け巡りました。