【前回の記事を読む】2011年3月11日14時46分――「ママ~電気が消えた!!」「え!? 電気消えた?」と思った次の瞬間

第二章 子育てから学ぶこと、学んだこと

元気づけようと伺ったにも関わらず、私のほうが元気をいただくばかりで、生きていることの意味や意義について帰りの新幹線では深く考えることが多くありました。

津波に飲み込まれ、行方不明の家族、友人、仲間を今日も帰ってくると信じて海を見つめる被災地の方々。

命とは何だろう。生きるとは何だろう。ある日、突然、別れを迎えるという事実。それは私たちが生まれたその瞬間から背負った宿命。

明日、大切な人と永遠の別れを果たすことになったとしても、後悔のない余生を送るために一瞬、一瞬を大切に丁寧に生きていくことが今を生きる人間の宿命でもあると思います。

日本人に限らず世界中の全ての人に「今を生きていられるその幸運」を当たり前ではなく生かされていると知ってもらうことができれば、世界紛争もなくなると思います。

この世に生を受けた人は全員、志の高い人だと確信しています。

妊娠中の母親学級。助産師さんの講話で「出産時に苦しいのは母親だけではない」ということを知りました。赤ちゃん自身も「外に出たい! お母さんと会いたい!」その一心で真っ暗な先の見えない産道を生まれることをただ信じて進むらしいのです。

もちろんさまざまな理由で帝王切開になっても、赤ちゃんは誰よりも「生きていたい!」という思いは強く持っていると知りました。

今を生きる私たち全員が逆境力は持ち合わせているのです。東日本大震災もそうです。世界的に数十年単位で起こるパンデミック。SARSや新型コロナウイルス感染症。日本に目を向ければ各地において数年単位で起きている巨大地震。

自然災害。どんな時も私たちはそれらを乗り越えてきたではないですか。自分には逆境力なんて持てない。そう思ったのであればそれは大きな勘違いです。

逆境力がないから自分には乗り越えられないなんて言い訳の盾にすることなく、今を精一杯生きれば必ず誰かが救いの手を差し伸べてくれるのが人生なのです。

生きていきたい、その気持ちが少しでもあれば、未来は開けていくのです。

被災地支援を通して「命とは何だろう。生きるとは何だろう」私の心もぽっかりと穴が開いてしまったそんな時期にお腹に宿った第2子となる赤ちゃん。お腹の中でこの世に生まれて強く生き抜くと決意していたのでしょう。