しかも、同日には、政府首脳が、銀行に東京電力向けの債権放棄を求める趣旨の発言を行い、銀行株が軒並み急落したことが報道された(『日本経済新聞』2011年5月14日)。
さらに、S&Pは、東電の格付けを大きく引き下げたが(『日本経済新聞』2011年5月 31日)、このことは、その後の賠償対応だけでなく、電力会社の存立基盤さえ危うくする結果を生じさせていた。
原賠法の枠組みの中で、国民負担の極小化を図ることを基本として東京電力に対する支援を行うという政府のスキームは、現実に東京電力の自立的な資金調達能力を著しく劣化させるものであった。
このような政府の「援助」のスキームは、原子力損害賠償法が被害住民等の補償のために原子力事業者に「無過失責任」を負担させることによって損害賠償させ、これを国が「援助」するという仕組みを大きく変容させ、以下の通り、同法の趣旨を逸脱し、同法に違反している疑いが濃厚である。
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