私は牛の獣医師時代、どうすれば薬を使わずに、病気にもさせずに牛を育てられるのか、そのようなことを研究し学会で報告したり、アドバイザー的な立場で、現場の獣医師と一緒に考えながら、「薬を使いすぎなので、エサを改善していきませんか」「子牛だけでなく、お母さん牛を改善していきませんか」という取り組みに励んでいました。
それなのに、当時(今から12年ほど前)、3歳の長男と生まれたばかりの次男のアトピー性皮膚炎に対して、私は医師に言われるままステロイド剤を使っていました。
でも塗り続けても治らない。食生活や生活環境を改善しても治らない。そんなとき、アロマケアを教えてくれたのは人間の病院で看護師をしているママ友でした。
最初は「医学を学んで実践している看護師がアロマ?」とも思いましたが、そのママの子のアトピーは良くなっています。ママ友に教えられながら使ってみたら……、結果が良かったのです。
でも、私はその作用機序がわからない。頭で納得ができないので徹底的に調べました。つまりは、アロマケアで使うエッセンシャルオイル(精油)の原料である植物の化学成分が体に入ってきて、それが体の中で良い作用を起こすということ。
牛の世界でも漢方的な植物のものを薬として用いることがあるので、その感覚が理解できました。
エッセンシャルオイルの効果について多くの医学論文も出ており、たくさんの生理的・薬理的な作用が明らかになっていることがわかりました。大学時代は生理学を専攻していましたので、調べれば調べるほどおもしろいと思いました。
そうするうちに、保育園のお母さんたちにアロマケアについて聞かれたり教えたりするようになり、アロマ愛好者のコミュニティから、エッセンシャルオイルの薬理的なメリットについてセミナーで話してくれと頼まれたりするようになりました。科学的な視点でアロマケアの意味を話すわけです。
そんな中で、私が獣医師であることを知ると、「犬にはどうやって使えばいいの?」というペットに関する質問がとても多く驚きました。
これだけ犬猫に使いたいという人がいるなら、多くの人が安全にペットにアロマケアができたらいいなと思いましたし、私もペットのアロマケアを詳しく知りたい。
それならとペットアロマの勉強を本格的に始めましたが、日本にはあまりペットアロマに詳しい人はいませんでした。
次回更新は8月19日(火)、20時の予定です。
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