フロリダ州南部にあるこの町は、地球儀をまわすとちょうど日本の裏側あたりに位置している。
気候は一年を通してとても暖かく、冬の間も朝晩を除けば半袖で過ごすことができる。長い夏はじっとりと汗ばむ猛暑日が続き、日差しも強烈で車の窓ガラスにはみんなティントと呼ばれる濃色のフィルムを貼って強い紫外線に備えている。
それから空の様子に注意を向けていないと、急なスコールで車や建物の中で無為な時間を過ごすはめになるが、それでも傘をさす習慣は一般的にはないようで、僕はそれにならい先を急ぐときはいつもずぶ濡れになった。
英会話などまったく経験のないまま、ニューヨークのツインタワーが破壊された直後にここへ移住して一年が過ぎ、とっさに出てくるひとり言はいつの間にか英語になっている。
しかしその言葉は大抵どれもひどく汚い言葉だった。
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