第1章 診断
第1章で知って欲しいことは、『障害を持って生まれたこと(生きること)・障害者の家族になったことが運命の分かれ道にならないでほしい』ということです。
「もし、あなたに、生まれたばかりのわが子が障害を持っていると告げられたら、どんな気持ちになるでしょうか。喜びと同時に、未来への不安、育てていけるだろうかという迷い、そして、何よりも『なぜ、うちの子が……』という絶望にも似た感情が押し寄せてくるかもしれません。
ここでは、そんな不安の中で始まった、私とわが子のお話しです。障害を持つわが子との日々を通して見えてきた、社会の課題、親としての葛藤などを、正直に語りたいと思います」
そして、障害を持って生まれたこと、障害者の家族になったことが、その後の人生を大きく左右する『運命の分かれ道』にならないでほしい。そんな気持ちをお伝えしたいと思います。
◆診断前の娘について
私の子どもたちは2人とも自閉症ですが、最初に診断を受けたのは第1子となる娘です。彼女が自閉症の診断を受けたのは、2歳4ヵ月でした。
ただ、診断がつくまで、何も困っていなかったのかと聞かれたら全くそんなことはありませんでした。
『なぜ、こんなにもうまくいかないのだろう』
『私の子育ての仕方がよくないの』
育児をする中で何度も、そのように思いました。
特に、
・目が合わない
・名前を呼んでも振り返らない
・常に動き回っている
・寝ない
・食べない
・喋らない など
同月例のよそのお子さんとあまりにも違いを見せていて、気になりはじめました。しかし、気にはなるものの理由がわかりません。
これらは全て、自閉症の子どもが見せる特徴のひとつです。ただ、当時の私には自閉症の知識なんてなかったために『なぜ、こんなにもうまくいかないのだろう』と考えるしかありませんでした。
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