そのため、この本は、今まであまり語られることのなかった発達障害児の家族について、考えていくための本にしたいと思って書きました。

発達障害のある子どもを育てる家族の視点や感じている思いを、少しでも多くの人に知っていただけたらと願っています。

私たち家族の声を届け、「知ってもらう」ことで、障害のある家族の持つ独特の傷つきや悲しみ、孤独感への理解が深まり、支え合いや共感の輪が広がるきっかけになればと思います。

私が発達障害の子どもたちを育てる中で気が付いた周囲との認識の違い。また、私自身が思っていた育児の幻想との擦り合わせ。

本書を通して私がお伝えすることが、発達障害の育児の「全て」ではありません。ただ、自閉症という障害を抱える我が子たちを育てる中での日常を、私というフィルターを通してお伝えすることで、見えてくるものがあるのではないかと思っています。

それに加え、「ケアをする人のケア」が必要であるという社会課題を、自分事にする人が増えてくれるとうれしいと心から感じています。

そして、最終的には、身近にいる発達障害を抱える人たちのことを、より正しく知りたいと思ってくれる人が増えたら幸いです。

 

この作品はノンフィクションですが、プライバシーの観点から、一部の内容や登場人物の名前等を変更しておりますことをご了承ください。