英国の家は、一戸建2階造りのディタッチドハウス(Detached House)、一戸建てで真ん中が左右対称に2軒続きとなっているセミディタッチドハウス(Semi-Detached House)、何軒かの家が 1 棟につながっているテラスハウス(Terraced House)、1階建ての平屋バンガロー(Bungalow)、3階建て以上のフラット(Flat)、と呼ばれる5つのタイプが一般的な勤労者世帯が居住する家の様式です。
古いものを大事に使う伝統的な気風もあることから、茅葺屋根の古い家(Thatched House)で内装をリフォームしたものや、日本ではありえないようなとんでもない規模の先祖伝来の大きな館に居住する人もいます。これらの価値ある家屋や館の話題は後で触れることにします。
ミルトン・キーンズ(Milton Keynes)の町は、1960 年代後半に開発された英国の大規模な新興都市で、ロンドンの北西約80kmのところにあります。きちんと区画整理された地域に広い道幅の通りが縦横に走り、ディタッチドハウスが整然と並び、緑豊かな公園や広いショッピングセンターを有する美しく便利な町です。
いくつか候補物件を下見したものの、私にしてみればどれも同じような代わり映えのしない家の造りに見え、こぎれいで築浅なことは良いのですが、どうも面白みがないと感じたのでした。会社に近いことは便利そうですが、もう少し趣深い場所や風情のある家のほうが良いのになあと物件を見ながら感じていました。
そんな時に、ミルトン・キーンズからさらに北へ向かって田舎道をクルマでゆっくり走っている際に目にとまったパブのある村がいい感じを醸し出していたことに気がつきました。もう一度パブのあった場所に戻ってみました。
田舎の道路沿いに広い芝生の前庭があり、野外でビールを飲み料理を楽しめる木製の広いテーブルとベンチ椅子を備えた席が6つほど備えてあります。その奥に白いパブの細長い建物がこちらを向いて鎮座しています。
駐車場にクルマを停め、パブの周りを歩きながら、村に入ってみました。茅葺屋根の家が点在しています。石造りの年代物の壁のある家が並んでいます。きれいに刈り込んだ芝生を前庭に持つ家、玄関に色とりどりの草花が植えられ、手入れがよくされた家などがあちこちに見えます。ちょっとしたマナーハウスを小さくした規模のような立派な風格のある屋敷もあります。
おお、いい感じの村だなとピンときました。これがノーサンプトンシャー(Northamptonshire)のミルトン・マルソー村(Milton Malsor)との出会いでした。