【前回記事を読む】偶然出会った理想の家に家族で住み始めると、庭の向こうに学校がある信じられない幸運をノーサンプトンシャーで得た

第1章 英国生活の始まり

3. 英国生活の拠点はまさかの“村”

ミルトン・マルソー(Milton Malsor)という村

この家のオーナーN夫妻は、近隣の町へ出るとのことで引っ越し準備を進めている最中でした。何度かお会いしてあれこれ話をする機会がありました。ご主人は、庭先に生えていた大きなイトスギの樹をちょうど切り倒して細かく枝や幹を切り分けするなどせっせと片付けを進めていました。

家の中も自分で案内してくれて、2階の子ども部屋の壁にヘビーメタル好きの子どもがペイントして描いた黒バラの奇妙な絵は、壁を好きに塗り替えてくれて良いと提案してくれました。さすがにヘビーメタルのテイストは私にはいまひとつ好みではないので、後日私が薄いアプリコット色に塗り替えて優しい雰囲気の部屋に変えてしまいました。

奥さんは、裏隣の小学校のオフィスで補助的なスタッフとして仕事をしていたため、小学校のことについて教えてもらったことが大いに助かりました。

また、自分の家のテナントになる家族の子どもがその小学校に通うことになるという情報を校長先生にも非公式に伝えてくれたこともあったのでしょうか、私と校長先生はフレンドリーな話し合いをすることができたことが幸いでした。

家の隣が小学校

ミルトン・パロウキアル・プライマリー・スクール(Milton Parochial Primary School)は、ミルトン・マルソー村の男女共学の公立小学校です。創立は1848年。日本ではペリーの黒船来航前の幕末時代です。

校舎は石造の立派な建物で、三角形の屋根を3つ持ち、目を引く姿をしています。正面には昔のゆがんだガラスがびっしりはまった大きな窓があり、光を複雑に柔らかく反射しています。校舎の裏へ回ると少し小ぶりですが一面芝生の校庭があり、すぐ近くに小さなプールもあります。このプールは、隣人が善意で貸してくれているものです。

生徒の人数は約100人、専任の先生は5人、事務や補助的な仕事を担当する人が約10人、この他にも地域の人たちがさまざまな支援活動をしてくれています。生徒は指定された白いポロシャツと緑色のトレーナー、グレーのズボンやスカートを着用する決まりになっていて、毎朝登校時にきちんと着用しているかを先生からチェックされます。