【前回記事を読む】オーナーとの関係が悪化、開店して1ヶ月で店長を辞任。仕入れた商品を全て買い取るようにと言われ...

第一章 アジアへの憧憬と初めての店創り

1 最初の店は雇われ店長から

世間知らずの雇われ店長はオープン1ヶ月で辞任

あの頃のことを思い出すと、今でも穴があったら入りたい。未熟だった自分が本当に恥ずかしいです。その数年後、持病のあったオーナーは亡くなられ、店も閉めたそうです。今では謝りにいくことさえできませんが、本当に申し訳ないことをしたと思っています。

お金を出す人が口を出すのは当然であり、自分は何のリスクも背負わずに、人のふんどしで相撲を取ろうなんて、いいとこ取りに過ぎません。人のふんどしで相撲を取るのだとしたら、取るなりのルールがあるはず。

それがわからない奴は絶対にそんなことをやっちゃいけないし、やったとしても決してうまくはいかないのです。雇われ店長の経験は私にたくさんのことを教えてくれました。

買い取った商品を売るには自分の店を創るっきゃない!?

次の日、心配した友達が家にきてくれました。少しでも私の負担を減らそうと、私が抱え込んだエスニック衣料をかなり大量にまとめて買い取るためです。それを職場の仲間にも売るからと申し出てくれました。彼女は私にお金がないのを知っているので、最初からまとまったお金を用意してくれたのです。

だからその場で私はかなりの現金を手にすることができました。退職金を全て使い果たし、商品を買い取ったスッカラカンの私に、まとまったお金が入ってきたのはありがたいことでした。

これから年の瀬を迎えるというのに、仕入れたものを買い取ってしまったので、現金もなく、大量の在庫を抱え、途方に暮れていた私は、そうか、この商品が売れたら現金が入るんだ! というシンプルな事実にようやく気づくことができました(そんなことも考えられないほど、正直なところ疲れ果てていたのです)。      

その瞬間、泣き続けていた私にスイッチが入りました。とにかくこの商品を売る方法を考えよう! その時、たまたま手にしたタウン誌に貸店舗の広告がありました。