【前回記事を読む】雇われ店長を辞め、商品買取で大量の在庫を抱え、現金もない私。でも泣いている暇なんてない! 自分でお店をやるしかない!
第一章 アジアへの憧憬と初めての店創り
1 最初の店は雇われ店長から
買い取った商品を売るには自分の店を創るっきゃない!?
店内には買い取ったアジア雑貨やエスニック衣料の他、フェアトレードの雑貨、自然食材やエコ雑貨、本やCDなどを並べました。何しろ、商品のラインナップは前回の店を作る時、相当、研究したので、仕入れ先など全て把握していました。ただ現金がないため、最初は仕入れがあまりできず、「委託」という形で商品を置くことにしました。
商品の販売には委託と買取があります。委託は買取しないで商品を預かって販売します。利益率は少ないですが、一定期間、販売し、売れなかったら返品して精算するので、初期費用の負担が少なくて済むのです。
こうなってみると、雇われ店長時代に新規の店を立ち上げた経験がモノを言いました。商品知識は既に充分あり、売れ筋もわかっている。あたかも、あの店での出来事は全て自分の店を始めるための予行演習だったかのよう。そして本番はこれから始まるのです。
かくして2週間後、フェアトレードと「自然色」の店をオープン!
暮れも押し迫る12月20日。私が39歳の時、こうして初めてのお店が成田の隣にある酒々井(しすい)という小さな町に誕生しました。
フェアトレードの商品と自然派雑貨や自然食材を扱うので、「フェアトレードと自然色の店 風楽」と名付けました。食べる自然食だけでなく自然な色(テイスト)のものを並べたお店という意味で「自然色」とつけました。いつも楽しい風が吹いていたらいいな、と思って名付けたのですが、10年経っても20年経ってもこの店の名前が私は大好きです。
自然食材や天然素材の衣料、草木染めの衣料、フェアトレード商品、エコ雑貨などを並べているので、コンセプトは心にも体にも気持ちのいい「自然色の店」。商売なんてやったことのない私が、今度は自分の力で店を出す。その日から私の職業は「自営業」。そして私は「雇われ店長」ではなく「店長」になったのです。
レジスターはリサイクルショップで買ってきました。オープン初日、レジに釣り銭を入れたかったのですが、開店準備に手持ちのお金を全て使い果たし、手元に現金がない!! 仕方なくお財布の中にあった小銭を数枚入れただけで、お札のないレジを用意。それでも私にとってはピカピカのレジでした。
泣いても笑ってもゼロ(数百円)からしか始められない……釣り銭も用意できない店舗のスタートです。