【前回記事を読む】谷町線ホームの方から、カンカン帽を被ったおっさんが、ガニ股で階段を駆け下りてきた

おっさんのラプソディ

敵は我にあり

 

世にあまたのスポーツがあるが、私が最終的にはまったのはゴルフである。

卓球やテニスは、相手が上手過ぎるとゲームにならない。強烈なサーブや、回転を利かせたサーブを打たれれば到底返せない。かと言って、自分より力量不足の相手だと、忖度してあげなければならないのでつまらない。

野球やサッカーなどのチームスポーツは、敗因が個人に集中することが多く、責任を一生背負い込むことになりかねない。マラソンや水泳などの忍耐が基本のスポーツは、ゆるい生き方が好きな自分には向いていない。

その点、ゴルフは幾つになってもできるし、他のスポーツと違って、歳を取ってからでも伸び代がある。運動量もテレビ観戦だけの頃は分からなかったが、いざやってみると結構疲労が残る。

何と言ってもゴルフの魅力は、戦う相手が同伴競技者ではなく自分だというところだ。この自分というところが曲者なのだ。全く言うことを聞いてくれない。

右に池があるので左を向いて打つと、不思議とボールは右にカーブし池に入る。谷を越えようと、上を向いて打つと、ボールは見事に谷に吸い込まれていく。とにかく、自分が頭で考えることの真逆の結果に陥るのである。 

ボールが飛んでいく方向を見てしまうのは、動物の自然な反応なのだが、ゴルフというスポーツは、人間が本能的に備えている反射神経を、如何に精神力と冷静さでコントロールできるかにかかっている。

今日も、欲にまみれた自分に勝てなかった。

目と鼻の先にあるカップに辿り着くまでに、一体幾つ叩いただろう。