【前回記事を読む】とことん被害者面したい不倫モラ夫の奇行:突然「あーっ!」と怒鳴る声。見ると、わざわざ風呂場で洗濯したようだ。理由は…
破局へのカウントダウン
六月十四日(木)
午前五時五十分頃に目を覚ますと、またカップ麵を、今朝は台所で食べたようで匂いが漂っていた。
その後、もうひと眠りしてから起きだし、いつものように、夫に持たせるおにぎりをつくると、私はこの日は非番だったので、洗濯機を回しながら、リビングの掃除を始めた……が、夫はなかなか起きてこない。
毎日の出勤時間まではスケジュール帳に書かれていないからわからない。起こしようがないので放っておくことに……。結局、起きてきたのは十時半頃だった。私が仕事に行かずにいたのがよかったのか、「何か食べるものありますか」と聞いてきた。それで私は、おにぎりとは別に朝食の用意を始めた。
夫はシャワーを浴びにいったようだ。ちょうど二回目の洗濯が終わり、干そうかと思っていたところだったのだが……仕方なく夫が出勤してから干すことにする。――と、浴室からまた、あの唸るような怒鳴り声が……。夫はその後、食事をして、十一時四十分にやっと出勤していった。最近、怒鳴ることが増えてきた。事件が起きなければいいけど……。
六月十六日(土)
昨日の朝出勤して、今日午後四時二十分にご帰宅。昨夜から今まで何をしてたんだろう……。そのまま二階へ上がり、夜七時過ぎに一階におりてきたので、カレーがあると言うと、軽く頭を下げてから、また二階へ……。それからしばらくしてカレーを食べにおりてきて、食べ終わると私に深々と頭を下げ、着替えて身だしなみを整えた後、八時四十七分、また出かけていった。
帰ってきたのは、午前三時三十五分だった。少しアルコール臭かった。疲れている感じがしたが……当たり前だ。それから何をして起きていたのか、明け方になって、食卓でカップ焼きそばをズズズーっとすする音がして起こされた。
六月二十一日(木)
今日から一週間、孝雄はオーストラリアへ出張することになっている。行先が海外ということで、何かとバタバタするかもしれないと思い、私は出発するこの日と帰国する来週の木曜日に仕事の休みをもらっていた。
朝、リビングに来て、カップ麵を手に取っていたので、「食事の用意をしますか?」と聞いてみた。そしたら、いきなりカップ麵を握りつぶして投げつけ、外に出ていった。そのまま流し台に立って洗い物をしていると、まもなく外から戻ってきて、ふたたび別のカップ麵を取り出し、お湯を入れて二階に上がっていった。
「御飯用意して」って、素直に言えばいいのに……。
その後、午後二時過ぎに家を出る。大きなスーツケースを持って二階からおりてきたので、最寄り駅まで車で送った。ちなみに一週間後には、〈帰ったら食事の用意をしてください〉というメールが朝早くに届いて、午前十時頃に帰ってきた。その後、食事をして休んでから、夕方四時過ぎに、お土産を手に出かけていった。午前〇時二十分帰宅。
後日、孝雄の携帯電話のメールをチェックしてみると、この時は理子(さとこ)さんという女性に会いに行っていたようだ。
六月二十九日(金)
夕方五時頃、専門学校から帰ってきた佳奈美が、相談があると言うので聞いてみると……。
「学校やめたいんだけど……」
友だちとはうまくいっているが、授業がどうしてもつまらないとのこと。
「やっぱり、自分に合ってないんじゃないかって思う……授業料、無駄にしちゃって悪いんだけど……」
どうしたものかと思いながら、それからしばらく話し合ってみたのだが、佳奈美の学校をやめたいという気持ちは変えられそうにない。夫に相談しようにも、今のような状況では、どう切り出せばよいものやら……。
結局、私は、佳奈美を説得するのは難しいと考え、その場で彼女の気持ちを受け入れ、退学することを了承したのだった。この日、孝雄は明け方に帰ってきた。
朝七時頃、私が布団をしまおうと、音を立てないようにして寝室に入ると、まだ鼾(いびき)をかいて寝ていた。すかさず夫の手帳を開いて、来月のスケジュールが書かれたページをパシャリ。「××(もちろん女性の名前)の誕生日」とか、「○○(これももちろん女性の名前)と花火大会」とか、デートの予定がいろいろ書きこまれていた。
七月二日(月)
「今日仕事か?」と聞かれる。軽くうなずくと、「お気楽、ご気楽」と言い残して仕事に出かけていった。帰ってきたのは午前二時を回ってからだった。
スケジュールでは、この後ふたたび出勤して金曜日まで出張となっている。
次回更新は7月26日(土)、19時の予定です。