現在僕は被災地病院に赴任し、人生のリセットを試みている。残りの人生を考えた場合に、あとどれぐらいの人に出会えるだろうか……。ここ数年の暮らしぶりを考えると、きっとそれは、かなり限定的なものになるだろうという予感がする。

もちろん、まだまだこれからという気持ちがないわけではないし、できるだけのチャレンジを続けていきたいと思っている。でもだからこそ、これからの出会いはこれまでよりもっと貴重で、さらに濃密なものになるような気がしている。

夢を追いかけ続けることはけっこうしんどいことだ。大人という肩書きをもった僕にとってのこれからの希望はなんだろう。

「人生ってこんなものだったのかな」と思わざるを得ない状況のなかで、過去に出会った人たちを振り返ることで、これから出会えるであろう人たちに想いを馳せるしかないのか。それほど重く考える必要はないが、そうやって希望をつないでいくしかないのだろうか。

「いままでがいい加減だった」というわけではけっしてないが、これからの出会いの1つ1つを大切にしていくためには、(「僕にとっては」という前提が付くが)意義深かったと感じられる人たちを一度振り返っておくことが、けっこう重要な営みになるような気がしてきた。

さて、僕の一期一会のなかにはどんな人物が登場するだろうか? 昔を慈(いつく)しみながら筆を進めていきたい。

 

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