(4)ルール無視のコード進行

コード(和音)の進行には定番のパターンがあります。それを踏襲するとありきたりになりがちですが、ビートルズは、定番のコード進行を無視したユニークな曲を数多く作りました。

例えば「ヘルプ!」では、Aメロでコードが「A→C#→F#→ D→G→A」と進行しますが、大胆かつユニークながら実にエレガントな進行です。一般的には「A→Cm→F#m→ B→E→A」と進行させるところです。伝統的な音楽理論に忠実に従っていたら、絶対に誕生しなかった曲です。

(5)1曲が短い

ビートルズの前期の楽曲は、3分以内で終わる短いものばかりです。1960年代前半は、ラジオ局の方針により3分以内に曲を終えることが必要でした。ビートルズは、曲を素早く展開させ、リスナーを一気に虜にすることに成功したのです。

(6)いきなりサビから入る

現代のJ-POPでもよく使われるテクニックですが、いきなりサビから入ってリスナーのハートをつかんでしまいます。「キャント・バイ・ミー・ラヴ」などがその典型です。

(7)ジャンルにとらわれない

ビートルズの楽曲は、ロックが中心ですが、それにとどまらずクラシックのような美しいバラード、様々な編集を加えた実験的な音楽、子どもでも歌える楽しい曲、ハードロックなど同じアーティストとは思えないほど幅広いジャンルをカヴァーしました。

(8)数々の実験を成功させた

ビートルズは、数々の斬新な実験を試み、成功させました。例えば、「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」では、間奏で突然オーケストラが最低音から最高音まで、即興に近い演奏をしています。

そのまま異なるメロディーに移行し、また最初のメロディーに戻ります。リスナーは、ジェットコースターに乗った時のように振り回されっぱなしです。