私は渋々、教えて貰った病院に電話をかけてみた。受付の女性は、ゆる~い声で応対してくれた。

「ALSの診断結果はでている。障害者手帳も持っている。会社員なので社会保険証だ。今通院している病院から、そちらの病院に変更したいので、一度先生に診てもらいたい」

その旨を伝えた。

受付の女性は、ゆる~い声ながらも、慣れた口調で、私に必要な手順を教えてくれた。電話でも把握出来た。電話を切った私は、病院のゆる~い感じに不思議な感覚を抱いた。

数日後、通院していた大学病院の担当医に、病院を変更するので紹介状をお願いに向かったが、その際に「何処の病院でも同じだよ」と投げ捨てられた。

最後の最後までムカつく病院だったなと、金輪際この病院とは関わらないことを誓った。

晴れてある意味フリーな状況になった私は、翌週にはアユに教えて貰った病院の自動ドアをくぐる。彼女も一緒に行くと言ってくれた。私はまた初めて会う医師に病気のこれまでの経過を上手く話せるのかが不安であったが、彼女のアドバイスとして、

「上手く説明できないか不安な時は、箇条書きのメッセージでいいから、先生に渡すのが良い。その方が担当医も把握しやすいし、カルテに残しやすいはず。私も説明できない時はそうしてるから。大丈夫」と。

その言葉に物凄く安心出来たが、箇条書きも上手く書くことができず、結局アユが私に質問した内容を、そのままメモに書き写してくれた。どこまでも甘える性格である。

私の不思議な感覚は間違っていなかった。

先ずホームページでも把握出来てはいたが病院の規模が小さい。

町医者レベルの大きさだった。

そして受付の女性は電話で対応してくれたであろう、ゆる~い話し方の女性が待っていた。