俳句・短歌 四季 歌集 2020.09.03 歌集「旅のしらべ・四季を詠う」より三首 歌集 旅のしらべ 四季を詠う 【第10回】 松下 正樹 季節に誘われ土地を巡る尊きいのちを三十一字に込める 最北の地で懸命に生きるウトウ、渚を目指していっせいに駆ける子亀……曇りなき目で見つめたいのちの輝きを綴る短歌集を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 刀身はさらに研師にゆだねられ 波うつやうな刀文あらはる ひとすぢの刀文流るる刀身の 妙なる反りに人は魅せらる 歳月を経ては研がるる刀身に また光沢のよみがへる
小説 『再愛なる聖槍[ミステリーの日ピックアップ]』 【新連載】 由野 寿和 クリスマスイヴ、5年前に別れた妻子と遊園地。娘にプレゼントを用意したが、冷め切った元妻から業務連絡のような電話が来て… かつてイエス・キリストは反逆者とされ、ゴルゴダの丘で磔はりつけにされた。その話には続きがある。公開処刑の直後、一人の処刑人が十字架にかけられた男が死んだか確かめるため、自らの持っていた槍で罪人の脇腹を刺した。その際イエス・キリストの血液が目に入り、処刑人の視力は回復したのだという。その槍は『聖(せい)槍(そう)』と呼ばれ、神の血に触れた聖(せい)遺物(いぶつ)として大きく讃えられた。奇跡の逸話(…
小説 『弔いの回想録』 【第5回】 松田 浩一 戦地帰りの男と割烹料理屋の店主が口論。ついには「この包丁で貴様を刺し殺さないと気が収まらない!」と、包丁を持ち出し… 昭和三十三年、私が幼い時に、居酒屋トラヤの親父がカーバイドランプを用意している時「おじさん何しているの?」と話しかけると、「ランプに燃料を入れているんだよ!」「石ころが燃料?」と尋ねると、「不思議だろう。この石に水滴が垂れると燃えるんだよ!」「へー、面白い!」トラヤの親父がランプの蓋を開けて、カーバイドをランプの容器の中に入れた。私は「変な臭いがする」トラヤの親父は「この石は、触ると臭いが手に移…