私は、桔梗さんがうまく話をはぐらかしたと思った。過去のことや、ゴルフ歴は話したがらないのだと思った。私に対する気遣いか、初対面の人に対して警戒しているのか分からないけれど。

木下さんの言葉通り、桔梗さんのプレーはとても並みの女性とは思えなかった。

まず、ショットが素晴らしい。次にプレーがきびきびしていて速い。打つ前のルーティーンだが、1回素振りしてスタンスを決める。打つほうを見ると、すぐに打つ。

プレーの遅いプレーヤーは、素振りの前に、ボールの後ろに立って、方向を確認する。そんな動作は、5秒で済むと思うが、打つほうをにらんで考え込んでしまう。素振りは、2回する。それで構えればいいが、もう一度ボールの後ろに回って方向を見る。やっと構えたと思うとクラブをふらつかせてワッグル(Waggle)を行う。

ワッグルというのはスウィングを始める前にクラブのヘッドをゆらゆらっと揺らして打つきっかけを作る動作だ。そしてさらにじっとボールを見つめてどう打つかイメージする。1回のショットに人より30 秒は長くかかる。

スコアが90として、1打当たり30秒人より多くかかると、2700秒、つまり45分長い時間を使うわけだ。仮に、15秒多くても20分以上時間を使っている。

遅いプレーヤーがだんだん誘われなくなる理由だ。私が一度一緒にプレーして面白かったのは、プレーの遅い人が、前の組のプレーが遅いと非難したことだ。こちらの組で遅いプレーヤーは一人。前の組には、二人いた。遅い人は、自分が遅いことに気付いていないのかもしれない。

9ホール終わって、クラブハウス内にあるレストランに行った。

桔梗さんが、テーブルに着くのが少し遅いと思ったら、シャツを着替えてきた。