予約を取ったと同時に真由子の期待以上に不安が一気に膨らんできた。マンションのドアを開けてNG客の私が来たと分かったら、流星はいったいどんな態度を取るのだろうか?……真由子だと分かった途端、ドアから押し戻してピシャリ!と無言でドア外に閉め出されるのだろうか。
「真由子さんですね、NG客ですから帰って頂きます。そして事務所に報告しますね」
このような素っ気ない態度を取られるかもしれない。基本的に流星自身からの要望で私はNG客に指定されているのだから……。
想像しただけで真由子は、とんでもなく恐ろしくなってきた。流星自身に手酷く拒否されたら、もう二度と立ち直れなくなりそうだ……だがしかし、そこまで行動してみて拒否されるなら、やっぱり本当に嫌われたんだと確認出来て諦めが付くかもしれない……そんな思いに至った。
NG客に突然なって、その原因が予約キャンセル繰り返しと、掲示板にキワドイ流星とのラブラブエピソードを複数回、書き込みしたのが原因だと分かっていても、以前までの流星が真由子に見せていた甘く優しい態度を思い、個人的にまだ特別な自分への好意が残っているはず……その想いを捨て切ることが真由子は出来なかった。
次回更新は7月6日(日)、18時の予定です。