「あの状況を見て、私は信じると思うの!」

「記憶が無いんだ。彼女に聞いたら寒かったからベッドに寝たとしか言わない。彼女にはっきりと言った。君とは何もないはずだ。妻にしか、勃起しないと」

笑いそうになる。必死で話している。

「私はどうすればいいのよ。あの状況を見て、恐れていた事がついに来たと思ったんだよ。やっぱり若い女性がいいんだと、諦めなくてはと思った。悔しいけど納得しないといけないと」声が詰まる。

「違う、違うんだ。美樹しかいらないんだ。他の女性なんか欲しくない。君だけだ。本当だ!」優しく抱いてくれた。

「ごめん、ごめんよ。誤解するような事をしてしまって。後悔している。愛しているんだ。愛しているんだよ」声を出して泣いた。

「すまない。こんな辛い悲しい思いをさせて」

強く抱きしめられた。私も抱き返した。あ~っ、怖かった。許していいんだろうか…… 不安は残る。

しばらく抱き合っていた。涼真さん、スッと立ってスーツケースの荷物を出している。

「美樹、早く、片付けて。見たくないから」

荷物をひっくり返して私の元に来て長いキスをしている。嬉しい。ホッとした。

次回更新は6月15日(日)、21時の予定です。

 

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