「涼真さん、この状況を説明して!」と、大きな声で起こした。涼真さんは、「何?」みたいな……ベッドの横を見て驚いている。私は自分でも分かるぐらい凄い顔をしているだろう。
冷静に作り置きのおかずを冷蔵庫に入れて、涼真さんが止めるのを振り払ってマンションを出た。
新幹線の時刻表を見る余裕などなく駅に向かった。運良く二十分後の出発便に乗った。 座席に座って悔しくて、悲しくて、振り切ってきて良かったのか後悔もした。言い訳も聞くべきだったのかな。
今日中に家に帰ってこなかったら……離婚もあるかもしれない。どうしよう! 仕事を辞めるべきではなかったのか後悔。一人でも生きていけたのに……。
車内販売のビールを買って飲みほした。目を閉じると先程の寝室のシーンが蘇る。嫌だ! 気持ち悪い。今までの生活が走馬灯のように回る。
運命のような出会い、たくさん愛してくれた事。年上の負い目はいつもあったけど実家へ行くと癒されていた。素敵な家族だった。
三時頃着いた。取り合えず出て行く準備はしておこう。スーツケースに荷物を詰めながらわびしい気持ちっていうのか、切ない気持ちっていうのか胸がちくちく痛む。表現が難しいな。ゆっくり荷物を詰めていたら玄関が開いた。
涼真さん、帰ってきた。
「美樹、何をしている!」
「分かるでしょう。出ていく準備しているのよ。私に、飽きたんでしょう」
「待ってくれ! 聞いて欲しい。頼む」手を止めた。
「どんな言い訳をするの?」目が真っ赤だったのもあるし涼真さんを見ない。
「本当に僕は何もしていない。何で女性がベッドで寝ているのかも分からない。やましい事は無い!」