【前回の記事を読む】ふわふわした休日に「ああ~、幸せだね」――食事を済ませて、新聞を読んで、コーヒーを飲んで、抱きしめられ…
第十一章 親友のお祝いと長期出張
【涼真編】
圭司が来た。
「おめでとう。凄いな、映画化って。忙しいのに、余計に大変だな」
「そんな事無いよ。美樹さん、久しぶりだね」
「ええ、お久しぶりです。おめでとうございます」
「ありがとう。ゆっくりしていってね。美味しいデザートもたくさんあるよ」と続けて、
「綺麗だね。涼真、気を付けろよ。外人は気に入ったら誘うぞ」
「僕もいるのに、アプローチをするんだよ」と、ふて腐れて言った。
凄い、映画でマスコミにも取り上げられて話題作になりそうだ。圭司はますます忙しくなりそうだ。
体調崩すなよ。
何と今度は、美樹がトイレに立った時、
「すみません、あなたは一人ですか? 私と話せますか」と、妖艶な女性が!
「つ、妻と一緒に来ています」
「オオー、残念です」と、冷や汗。凄いな。早く帰ろう。美樹はハリウッドスターにも劣らないくらい綺麗だから、僕の前でナンパもされるし、一応僕もナンパされたし少し嬉しい。
来年、完成予定だそうだ。楽しみだ。
圭司は新しい小説が締め切りに近いらしく、早く帰りたいそうだ。
見ていたら、たくさんの女性に声をかけられている。うらやま……いや、凄いな。僕は美樹だけでいいんだ。圭司、今日は帰れないだろうな。寝れないだろうな。
それからしばらくして、新しい小説が発売になって凄く売れているらしい。売れっ子作家だ。
ファン一号の僕は買って読んだ。素晴らしい作品だ。さすがだ。