【美樹編】

六月中旬頃、涼真さん長期出張が決まりため息をついている。

「二か月間だよ。一人で暮らせないよ~。どうすればいい、美樹」

「どこに?」

「名古屋支店に。体制開拓と新規事業の教育で僕と部長と係長と三人だ。仕事は大丈夫だけど、君のいない家がダメだ」

「嫌ね~。大丈夫よ。私は週三日、名古屋に行けばいいんじゃないの」

「毎日は?」

「お家はどうするのよ」

「じゃ、四日は」

「ええ、そのようにしましょうね」

「オーケー、それなら会社に返事しよう」

「はぁ? 返事まだしてなかったの?」

「そうだよ。会社には一人で生活ができるか心配と伝えたんだ」

「子供のようね。ウフフフ」

「そうだ。君がいないと生きられないよ」来週から、涼真さんは二か月間、名古屋へ出張だ。

結構、荷物が多いので送る事にした。マンスリーマンションで生活するようだ。月曜日、移動日で会社から同僚と出発。私は午後二時頃、マンションに着いた。

荷物も届いていた。涼真さんは片付けをしていた。

「美樹、待っていたよ」と、抱きついてきた。

キッチンを見たら、会社側が準備したのか、ある程度生活ができる。

「今日は外で食べよう。味噌カツが美味しいらしいよ」

「ええ、楽しみ」

涼真さんと近くを散策した。スーパーマーケットが少し遠い。クリーニング店は近い。食事処は何件かある。一安心。