たった一行。言葉に出しても一秒に満たない、それだけの言葉。
その言葉に、涙が出た。
「……リベドルトに、行けば、ナギサが直せる」
リベドルトは強大な科学組織。なら、ロボットを……ナギサを直す方法だって知ってるはず。もしかしたら、あのロケットもリベドルトが仕組んだものかもしれない。いや、もしかしたらじゃない。確実にそうだ。ロケットなんか作れるのなんて、リベドルトしかいない。ナギサが、自分を育てたことさえ、リベドルトがすべて…… わかんない。なにもわかんないよ。
なんでナギサが壊れたのか、どうして自分が壊れるのがわかっていたのに逃げなかったのか。リベドルトがナギサを壊してしまった理由。全部全部、わからない。
でも、リベドルトに行けば、ナギサに会える。わからないことが、わかる。
リベドルトの場所を示している地図を見た。今いる場所は、「栃木」。リベドルトは日本の一番南の島に近い場所、沖縄のすぐ近く。沖縄本島から離れた所に、北海道位の大きさがありそうな、気持ち悪いくらいに綺麗な円形の島がある。そこが、ウィングフィールドと呼ばれているリベドルトの本拠地がある島。
地図によると、リベドルトまで行くルートは二つあるらしい。一つ目は、太平洋付近を通っていくルート。こっちは危険生物が少ない。
二つ目は日本海側を通っていくルート。こっちには「リベドルトの本土支部」が比較的多くあるらしい。リベドルトの本部はウィングフィールドにあるらしいが、日本本土にも支部を置いているらしい。それ以外にも、普通の人間じゃ太刀打ちできない猛獣が生息していたり、リベドルトの人間も未到達の、所謂(いわゆる)「秘境」というものがあるなど、危険なルートだ。
(一つ目のルートを通っていこう)
道なんてわからない、一人で旅をしたこともない。途中で、死んでしまうかもしれない。
でも、ナギサに会えないよりはマシだ。
「リベドルトへ行こう」
次回更新は6月24日(火)、12時の予定です。
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