「ナギサが? どうして?」

その手紙を開いてみると、軽く十枚は超えていそうな長い手紙が入っていた。その手紙を、声に出して読んだ。

「ティーナへ——」

『あなたがこの手紙を読んでいるっていうことは、私はもう壊れているということだね』

ああ、やっぱり。自分が壊れることを知っていたんだ。

ナギサの手紙は、まるで報告書だった。自分の言葉すら入れず、知識だけを入れていた。

『まず、一つ目。私は、リベドルトに作られたロボットなんだ。

いきなりなんにも言わずに壊れてしまってごめんね。私が壊れた訳、なんで世界はこんなことになったのか、自分はどこから来たのか。知りたいのなら、リベドルトに行ってみて。リベドルトは、生き残りの人類で結成された科学組織。世界を滅ぼした大厄災から逃れた人類、つまりは頭がいい人たちが三百年っていう膨大な時間で作り上げた、現代……ティーナからしたら、大昔か。“旧現代”だね。その時の技術とほぼ同等の力を持っている。知りたいなら、そこに行って』

リベドルト、確かナギサが壊れる寸前に言っていた、科学組織のことだ。どうせ最後まで読むのだし、地図はあとで読もう。

二つ目は——

何枚も、様々なことが書かれた文が続く。

本当に、感情も何も含まれていない、ただの図鑑のような文だった。

でも、最後。

最後の紙に、たった一行のメッセージがあった。

『ティーナ、大好きだよ』