あまりに理不尽なユンの言い分に呆れるジンに向けて、ヨウが追い打ちをかけるように口を開きました。
「この国の安泰は王様の御心の安泰に等しいのです。王様の望まれる道こそ、民が進むべき道なのです」
「そちはよく分かっておる。この者の言うことに一片の誤りもない」
そう言って愉快そうに高笑いするユンに対し、以前のような威厳を感じられなくなったジンは投げやりに伝えました。
「王様の御心も大事ですが、民の生活も等しく大切です。ならば暗行御史として派
遣された時に出会った、私の師である導師様をお呼びしても宜しいでしょうか。その導師様は雨を降らせることもでき、王様のお力になることもできましょう」
ユンは先程と打って変わり、あからさまに機嫌を悪くしているようです。そしてジンの前に来て、胸倉を掴んで言い放ちました。
「雨を降らせる導師だと? 余に口答えしたかと思えばふざけたことを申しおって。たとえそちであれ、本来は死に値するのだ。好きにするがよい。そちをもう友だとは思わん」
週明けに導師を連れて行くことになり、ジンは感謝を告げつつも悲しそうな表情を浮かべて、この場を去りました。ジンが居所を出るとヨウが怪訝そうな顔をしながら告げました。
「先程の者が言っていた導師という者から嫌なものを感じます。王様、お会いになっても平常心を忘れないようにお気を付けください」
「そちの占いは外れたことがないからな。肝に銘ずるとしよう」