ひとえに夫妻の公式の地位故に入ることを許可された各種行事に列席した。夫妻はあらゆる施設に入ることを許可され、一般の訪問者であったならば、間違いなく見聞し損なうであろう日本人の生活の諸側面を見るとともに、日本文明のまさに精粋に精通するに至った。
アンダーソン夫人はたくさんメモをとっており、彼女の最も素晴らしい啓蒙的書物を著述するにあたりそれらを活用した。この本はとても自然にさり気なく書かれているので、読者は描写の身近さにあっけにとられることを忘れてしまうほどである。
例えば、宮城(きゅうじょう)(※訳注)に入って皇室の行事に参列するのも、自宅で催されるアフタヌーンティーに行くほど簡単に思えてしまう。だが、一般人がいくら望んでも見られないその奥の院を、彼女の鋭い観察眼を通して見せてもらえることが、なんという特権であるかということに、不意に気づくことになるだろう。
従って、この本は、日本を最高の状態で描いているという点で、「魔法」というタイトルが付けられるには最もふさわしい。
この本は、皇室の作法や手の込んだ慣習、そして調和のとれた衣装や至る所に展示された芸術品が、太陽の昇る国を訪れる幸運に恵まれたことのある全ての人々に投げかけた魅力を、読者に伝えてくれるのである。
アンダーソン夫人の著作が、アメリカと日本の新たな、そして重要な友情の絆としての役割を果たすことに疑いの余地はない。
日本の極致を著しく公平に描いた書物として支持され、その信頼に足る正確性と賞賛に値する熱意をもって、帝国の全ての良識ある人たちに大いなる喜びを与え、我が国の人々の間に無知が広めた多くの偏見を一掃してくれるであろう。
これ以上の融和的で友好的な精神を表明することはできなかっただろうし、その簡潔で人を引き付ける書体によっても、才能ある著者が絶賛されることは間違いない。
ネイザン ハスキル ドール