【前回記事を読む】この子を拾ってから1年が過ぎた。喋れるようになり、カエルに「けろけろ」、花を「おはな!」…そして私に「だれ?」
第一章 ロボットと少女
どうしてこの子を
ナギサは、そのまま部屋に帰るのではなく、ティーナを連れて、いつも鹿を狩っている場所へ行った。
そこはマンションから一キロほど離れた場所にあり、数十年前まで骨組みだけの建物が並んでいたが、今では砂漠のように砂しか残っていない。
「ナギサ?」
「よく見ていて」
ナギサは、あらかじめ持ってきていたライフルを用意して、離れたところにいる野生のシカに照準を合わせた。
「ライフルはこうやって使う」
そう言うと同時に、引き金を引くと、鋭い銃声が空気を切り裂いた。
「きゃっ」
ティーナは初めて聞く銃声に耳を押さえ、数秒するとティーナはナギサに抱きついてきた。
「ティーナ、鹿を見て」
「あっ」
鹿は、ナギサのライフルに撃ち抜かれ、地面に倒れていた。ティーナは少し悲しそうな顔をした。
「しかさん、死んじゃった……?」
「うん。でも、生きていくためにはこうする他ない。ごめん、驚いた?」
「うん……」