【前回記事を読む】飛び起きて見回したが、拾った赤子の姿がない。探すと、ベランダで歩く練習をしていて――ここは5階。落ちたらまず確実に…

第一章 ロボットと少女

どうしてこの子を

(これくらいの年の子ってなに食べるんだ?)

とりあえず、鹿の肉を茹でて柔らかくしたものを作ってみた。

これは、食べても平気なのか?

だいたい、〇歳から一、二歳くらいだろうか。このくらいの子って、肉を食べられるのか? 鹿の肉は、牛肉と同じくらいのおいしさはある。人体に影響はない(はずだ)。でもそれを赤子が食べるとなると話は別。極限まで柔らかくはしたが、食べられるかどうかわからない。

他の食料を用意しようとしても、かなり遠出をしなくてはならない。

「う!」

「え」

もぐもぐという咀嚼音が聞こえ、音が聞こえた方へ振り返ってみるとティーナが手掴みでどろどろに溶かした肉をおいしそうに食べていた。

「うう!」

とてもおいしそうに食べている。とりあえず、食べても害はなさそうだ。

「スプーン使って」

「ふぇ?」

ティーナにスプーンを渡し、肉を掴んだ手をハンカチで拭いた。ティーナはスプーンを渡されてもどう使うのかわからず、おもちゃのようにして遊んでいたのでお手本を見せた。

「こう使う」

「!」ティーナは、どうやら予想より賢いようで、お手本を見せるとすぐにスプーンをロボットがしたように使ってみせた。

「そうそう、上手」

「あぅっ!」

ロボットが褒めると、ティーナは返事をするように笑った。鹿の肉が食べられるということは、食料には困らなそうだ。しばらくはどうにかなるだろう。

「ティーナ、起きて」

「う~ん」