【2019年10月(8年目の検証)より】

株式会社南三陸まちづくり未来が運営する「ハマーレ歌津」と「南三陸さんさん商店街」。

「ハマーレ歌津」は8店舗で復興していた。商圏人口は少ない。海を軸にして観光客を取り込むにはあまりにも商業施設としての魅力を感じない。

車で13分の移動先には地元スーパーが在る。住民の買い物はそちらを選ぶであろう。全く同じ顔をしている「南三陸さんさん商店街」と変わらぬ建築デザインは、さらに歌津の個性を感じさせてくれない。

この状態でこれからいかにして個性的で魅力ある商品の品揃えをし、吸引力の有るイベントの企画をたて人を呼ぶか、その手腕に期待したい。

「南三陸さんさん商店街」は28店舗の集積商業施設である。マスコミにも大きく取り上げられ来客の8割は観光客である。生活用品を扱う店は少ない。嵩上げされたこの場所から「南三陸町防災対策庁舎」を眺められ、観光地としての役割を担っている。

「たこプリン」など三陸タコを軸に商品開発をし、観光土産として海産物やお菓子などが多く並んでいた。観光客は食事込みで2~3 時間は過ごせそうだ。

「南三陸さんさん商店街」は総事業費約7億円で国が約5億円を助成する事業。

延べ面積は約3,000m²。株式会社南三陸まちづくり未来がスケルトンで建設し、内装などは賃借する店舗が整備する形で進んだ。

元々持ち家で店を構えていた店主は経験のない家賃支払いに戸惑いを感じていた。オープンした飲食店は海鮮丼に2,800円の値をつけていた。

来店客から、税金で多くの助成を受けておきながらこの価格は高すぎるとの声も上がり値段を調整した。売り上げが少なければ返済を不安視する経営者と、復興に思いを寄せ遠くから駆け付けてくれたお客との思いのずれが心を重くする。

南三陸商工会長山内正文様にご講演をお願いした。過去の津波経験をもとに、普段から避難方法や復興へのシミュレーションを重ねていたようだ。

株式会社南三陸まちづくり未来の設立から商業施設の建設、施設運営までの経緯を学んだ。街が全くなくなった状態からの再建の速さは大いに学ぶべきところである。

女川町(市街地地域)

女川町の被災状況は、女川市街地地域8,071人(死亡等1,436人)、被災面積145.33ha、被災棟数3,007棟と報じられている(参照:女川町HP)。