自分は、子どもや大人が使命感を持って、それを言葉にして「社会のために」や「困っている人を助けるために」と発言して、何か実行する事が全く好きではありません。
小料理店のカウンターに居た時、マスターから「どうして医者になったの?」と聞かれて、「いやあ、単に成績が良かったから」と答えると、「え、何それ」とその後マスターが不機嫌になってしまった事がありました。「ああ、こういう事は言ってはいけないんだなー」と思いました。
また対人関係が苦手なのもありましたが、医師の相手は患者さんという人間だから、これはちょっと克服しようと、学生時代は2年間演劇学校に通いました。
大学で学ぶ論理的な事もとても大事ですが、自分にとってもっと必要な事、動作やしぐさなどの非言語コミュニケーションの勉強をしました。
劣等医学生でしたが、演劇を勉強した事については、今でも「その頃アタマ良かったんだなあ」と自負しています。
また自分が専攻した小児科というのも、人と接するのが苦手だったので、獣医さんのようになろうと思い選んだだけです。
小児科の先生だから、子どもの事がとにかく好き、と思われがちですが、実は自分が子ども好きと思った事もないのです。
今は、こんな老医の所に、それでも子どもさんは受診してくれて、子どもたちには、ありがたいことだなあ、と思っています。