【前回の記事を読む】クリエイターのスタートラインが〝個人の趣味としての制作活動〟。ゆえに「お金をもらわない風土」だった「ギミック市場」

2 メタバースを眺めてみた(市場分析)

メタバースへの参入

【参入市場の決定と問題点】

②マーケティング事例が極端に少ない

何が原因?

2つ原因があると考えました。

1つ目は、シンプルに「参考事例がない」「世間一般的なマーケティング手法をどう具体的にVRChatに落とし込んだらいいのかわからない」が根本にあったと考えられます。

当時、既にVRChatに関するUnityプログラマーが多数活動をしており、商品を出していました。しかし多くが無料であったことに加え、有料かつビジュアル(3Dモデル)を含まないプログラム単体の商品が多かったです。

2021年当時に私に見えていた範囲で、有料のギミック作品の中でユーザー利用者数の多かったものは、カメラ撮影のための拡張機能「VRCLens」というソフトのみという印象でした。

クリエイター側の心理としては「マーケティングを意識した施策を行いたいけど、参考事例が見つからない」→「とりあえず体裁を整えて発表、しかしお金を取るべきなのか判断できなかったからとりあえず無料公開」という流れがあったのではないかと思います。

では、ギミッククリエイターがもっとパッケージング注1について考えればよかったのかというと、必ずしもそうではないと思います。これが2つ目の原因。そもそもクリエイターは「創作・制作することに特化した職人」であり「広げること・宣伝すること・企画を考えるなどのマーケティング」は元々領分ではないということです。

世間一般的にも開発・制作部門と、企画・マーケティング部門とで分かれていますしね。

なので2つ目の原因は、できないこと・わからないことは「わかりそうな人に頼る」「他の人と協力する」など、「多角的な人材を集めたチームを組む」という選択肢が取られたことがなかった・概念がなかった・少なかったことにあると考えました。

余談ですが「チームでのモノ作り」についての考えは、2024年ではVRChat界隈でもかなり浸透してきた印象です。