【前回の記事を読む】「ギミック市場」を選んだ理由は、強力なUnity開発力・ギミック開発力、セットアップツールがあったから

2 メタバースを眺めてみた(市場分析)

メタバースへの参入

【参入市場の決定と問題点】

①無料の作品が大半

何が問題?

当時の、〝ギミックはお金をとるようなものではない〟という市場認識、つまり「お金をもらわない風土」に問題があると感じました。

つまり〝クリエイターが売上に貪欲にならなくなっている〟ことが想像できました。これは〝そもそも制作物を市場に出す意義が一つ喪失すること〟、そしてそれが作品制作・パッケージングにあたって〝ユーザーに使ってもらう意識〟の低下、つまりはUX方面での品質の低下につながっていると考えられました。

またこれらは高い技術を持ったクリエイターの制作意欲にも影響を及ぼし、良いギミックが登場・発表されにくくなる原因になっていると考えられました。もちろんしっかりとした良い作品を制作されている方もいらっしゃいましたが……。

実際、VRC合法チート研究会の立ち上げ時に「ギミックの有料販売」を開発長のTKSPさんに提案した際、「遊びで作っただけだから……」「ほどほどのクオリティで特に公開せずに身内での使用に留めるつもりだった」「そんなクオリティと内容でお金とるの?とか言われそう」と返答を受けました。

現在、多くの方に利用してもらっているTKSPさんの素晴らしい作品が、風土の影響で世に出なかった可能性があったと思うと考えさせられるものがあります。

何が原因?

元来「お金をとる」という行為は、その製品・サービスに対して一定の責任・自信をもつことだと筆者は捉えています。つまり「お金をとらない」ということは、「クオリティに責任をもたない・自信がない」と同義と考えました(自分自身がサウンドクリエイターとして活動していたので、その思想的影響が大いにありますが)。

〝個人の趣味としての制作活動〟がスタートラインですと、この心理はよくわかります。ですがよく考えてみてください。VRChatの「3Dモデル」は有料で、さらに世間一般的に「プログラミング」は十分「有償技術」としてその地位を確立しています。VRChatに関わるプログラミング・ギミックだけ無料というのは、いささか筋が通らないのではないでしょうか?