【前回の記事を読む】ギミッククリエイター「作品の良さ・すごさをアピールしているつもり」VS ユーザー「何がすごくて何ができるのか?」

2 メタバースを眺めてみた(市場分析)

メタバースへの参入

【参入市場の決定と問題点】

③ユーザーに利便性・画期性が伝わっていない・伝わりにくい

何が原因?

これはユーザー側の視点で考えると見えてきました。

端的にいうと「ギミッククリエイター側とユーザー側の技術知見に対する理解度の乖離」に起因すると考えられました。

私自身の体験となりますが、ギミック作品のBOOTHのショップページを見た際に、「何のための何なのか」を理解するのが難しいと感じたものが多かったこと、これはUnity特有の専門用語を用いて「〇〇ができます」と説明文が書かれていたりすることがあたります。

また当時は実際に導入するにあたって複雑な操作を要する場合が多く、特にVRChat・Unity操作初心者の導入に対するハードルが非常に高いと感じました。

これは公開・配布ページに到達したユーザーが「そもそもよくわからないものを利用しようと思わない」「購入・ダウンロードしたけど途中で諦めたため、ギミックの恩恵を体感していない」という結果に繋がっているのではないかと考えられました。

実際この意識の乖離は根深く、VRC合法チート研究会で1号作品制作の際にTKSPさんが記載してくださった導入・操作説明書を、自分(当時少しUnityを触っていたぐらい)が一発で理解できなかったこと、そしてTKSPさん側は「どこがわからないのかが認知できなかった」ということが実際に起こりました。

どうすれば一般ユーザー(特に初心者)が一人で導入と操作を行い、恩恵を実感できるところまで到達できるか。ここはTKSPさんにも頑張っていただきつつ特に試行錯誤した部分でした。

これらの乖離は、いちクリエイター視点の「作りたいから作った」場合ですと特に問題ありませんが、市場としては問題で、「いいものは作られているのに利用者がいない」という状態につながる要因となっていました。

筆者の主張まとめると当時の私の主張はこうです。

「大半のユーザーがギミック作品の良さを理解・恩恵を享受できていないのではないか」

「ギミッククリエイターとユーザーの技術知見に対する理解度の乖離を認識し埋める必要性がある」

「ギミッククリエイターが乖離を自分で認識するのは困難である(メタ認知的な話)」

「そもそもペルソナ(想定顧客)設定注1を行い、想像・調査を行う必要性がある」