「美樹、行くよ」

「ええ、準備オーケーです」

「はい。えっ? 美樹、後ろに歩くんだよ」

「ええー、涼真さん、お掃除するようにクルクル回るって言っていたじゃない!」

「そうだったかなぁ~」

「そうだよ!」

「まずは、後ろに歩いてみて」

「ええー、急に後ろになんて歩けないよ~」

「アハハハハ」

涼真さん、お腹を抱えて笑っている。

「分かった! 涼真夫婦のクイックは男女反対ね」と、変更。

「私が前にステップ踏んで、涼真さんが後ろにステップね」

角でクルっと、涼真さんが回したら、先程の逆にステップ。

「美樹、逆走しているよ。アハハハハ」

「えっ、そうだね。どうすればいいの?」

「そのまま、行っちゃえ!」

「今年は私が前へ、来年は涼真さんが前ね」

「ダンスのルールを変えるの?」

「だって、涼真さんがちゃんと教えなかったからいけないのよ!」

「アハハハハハ」

涼太さん、二人の会話が聞こえた。

「クックックックッ……彩香、ちょっと休もう!」

「どうしたの?」

席に戻った途端、声を殺して笑っている。それを見ていて彩香さんもツボに入って笑っている。二人とも、お腹を抱えて笑っている。

次回更新は6月8日(日)、21時の予定です。

 

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