「何というダンスですか?」
「タンゴっていうのよ」
「ええーっ、団子!」
お二人、ズッコケている。
「美樹さん、団子ではなく、タンゴだよ。ハハハハハ」
涼真さん、又、大笑いしている。
「お母様、ダンスの名前が、少し変ですよね」
「何が変なの。美樹さん?」
ハンカチで涙を拭きながら、
「踊ったジルバはバジルみたいだし、掃除機みたいな名前のルンバとか、タンゴは団子に聞こえるし、魚の名前のようなマンボーとか、もっと凄いのは、助産師さんみたいな名前……」
「な~に、それ?」
「えっ~とですね、う~ん、ほら、涼真さんあったでしょう」
「う~ん、あったかな?」
「あっ、思い出しました。サンバ!」
一同、大爆笑。スタッフも笑いをこらえているのが分かる。
「美樹、君は最高だよ。可愛いよ」
「何! 急に、恥ずかしい」
お母様がお父様に話しかけた。
「ねぇ、パパ 涼太を見て! 涼雅が生まれた時以来よ。冷静で、表情を表に出さない子が、ハンカチで涙を拭いているわ。ツボにはまっているのね。涼太を見て彩香さんが又、ツボに入ってしまっているわ。おかしいわ。うふふふ」
「美樹さんは優しさと笑いを高山家に運んでくれるね。涼真を見てごらん、ずっと、笑っているよ。美樹さんをいじって楽しんでいるなぁ~。ハハハハハ」
一休みしたら、第二部です。お兄様も落ち着いたのでスタートです。クイックの曲が流れた。お父様夫婦、お兄様夫婦、フロアーへ立った。私達もスタンバイオーケーです。