希望の中学に合格し、祖父母が合格のお祝いに僕の欲しいものを買ってくれると言う。それで、「何が良いか、考えておきなさい」と祖父に言われた。

バットを思いっきり振って野球をしたいと思っていた僕も、祖父母から合格祝いのプレゼントと言われると、野球道具をお願いするのも少し憚(はばか)られ、「何かもう少し知的な物の方が良いのでは」と考える。

考えても、考えても、なかなか良い考えは思いつかず、僕は姉に相談してみた。

「ねぇ、お姉ちゃん、おじいちゃんとおばあちゃんから『合格祝いを買ってあげる』って言われたけど、何が良いかなかなか思いつかない。何が良いかなぁ?」

「ジョニー、そんなこと聞かれても困っちゃう。ジョニーが欲しいものをお願いすればいいことよ」と姉は言う。

「そうだけど、なかなか思い浮かばなくて……」

「ジョニーは何に興味があるのかな? 野球かぁ、それじゃあ野球の道具の何かにすれば」と姉。

「いや、野球の道具といえばグローブぐらいかな。でも、それはクラブに入ってポジションが決まってからにした方が良いと思う。それまでは、今、持っているグローブで大丈夫だから。他に良いものはないかなぁ……」

「野球以外で興味あることはないの?」

「うーん、宇宙かな。前に、と言っても、広島に住んでいた時だから僕はまだ幼稚園児。アポロ11号が月に着陸するテレビを見ていて、宇宙飛行士になりたいと思ったことがあったよ。プロ野球選手以外の将来の夢として、宇宙飛行士があった」

「良い夢じゃない! 宇宙飛行士は難しいのかもしれないけど、宇宙に興味があるのなら、天文学者とか目指すのも良いんじゃない?」

「天文学者かぁ……、何となくカッコいいね。夢がありそう!」

「それなら、天体望遠鏡とかはどうなの? 綺麗な星空を観察できるわ!」と姉。

「そうだね。それがいい。天体望遠鏡をお願いしてみるよ」僕は言った。