「はい。ケイコですが、なにか?」

不安げな様子だ。

「この写真の方、ケンジさん、こちらにいらっしゃると聞いて来ましたが」

原が、防犯カメラから作成した写真をケイコと名乗ったママに見せながら訊いた。

「ああ、ケンちゃん。ケンちゃんにご用なのね?」

いかにもホッとした様子で、奥の従業員に頷きかけながら続けた。

「ねえ、ヨッちゃん、ケンちゃんを呼んできて。もう着替えは終わったと思うわ。さっき来たばかりなんです。すぐに来させますから。で、ケンちゃんが何か?」

「ああ、いや。所轄の事件で、参考までに少しお聞きしたい事がありまして。助かります」

原が、ほんの参考程度にちょっと話を聞きにきたという態度で答えた。

そこに、三、四人の客が店に入ってきた。

「お晩でーす」

「私、もうおバンでーす」

「はははっ、あんたがおバンなら、私はとっくにおバンでーす」

いやはや、賑やかだ。

「いらっしゃーい。あーら、珍しい。皆さん、ずいぶんお見限りだったこと」

客と大はしゃぎをしながら、ママが木村と原に気を使ってくれた。二人を急いで従業員の更衣室兼休憩室となっている奥の部屋に案内して、そこでケンジに会わせてくれた。

早くから捜査線上に上がっていた第三の人物に遂に行き着いた。