時代は変わり、感染拡大がおさまるところを知らないコロナ禍で、国内八百五十万人、世界五億三千万人(※二〇二二年五月現在)に迫る感染者数といった社会現象に見舞われ、今の大学三年生の就職活動は悶々(もんもん)と始まる。
夢みていた海外留学は国境閉鎖で断念。人と人とのコンタクトが伴うクラブ活動やサークル活動は大幅に制限され、一部では月単位ではなく年単位で活動自粛。本来アピールしたかった大ネタを奪われ、社会人と肩を並べて、社会人になる予行演習ともいえるインターン活動に胸を膨らますはずだった数週間のインターン生活は、オンライン形式で一日からたったの数日。
いわゆる「会社」という雰囲気を醸し出すデスクが並べられたオフィス風景もなければ、横に社会人の先輩がつくこともない自宅の勉強机で、パソコンを目の前に、企業の実態を画面越しに体験するという文字通りバーチャルなインターンシップの場数をこなす。
友人達と喫茶店や大学生協の食堂などでわいわいと就活の進捗、業界動向など情報交換していた私の時代のあの光景はもはや皆無。
自宅でホームページ検索、『会社四季報』といった情報雑誌とにらめっこで悶々と企業選びをする、そんな孤独な日々。実際の企業面談の入り口はほぼオンライン。自身の表情、熱意、思いなどが、画面越しに、周波数に乗っかって的確に伝わっているかも微妙な、そんな面談本番を迎える。
今の学生達の多くは、情報収集の仕方に迷い、閉ざされた空間の中で、活動範囲を限られてしまった中からネタを絞り出さざるをえず、そのアピール方法に悩み、もはや企業で働くことの本質的な部分さえ見失い、働きたい企業像や自分がやりたいことすら見つける術をも失ってしまっているのが実態。