【前回の記事を読む】明かされた"カズコブランド"との確執の裏側――そして田代のアリバイは本当に成立するのか？

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目撃者の証言は田代に似た人を見たと曖昧なものであったためこれまでは不確かな情報ないし誤った情報と考えていたが、証言は事実と考えざるを得ず、田代のアリバイは成立したことになる。

「分かりました。確認をさせてもらいましたが、田代さん、事件には関係なさそうですね。いろいろ嫌な質問をして申し訳なかったです。なにしろこちらも仕事なもので。ただ、もう一つ、一応念のためですが、新年会は十時に終わったんですか？」

「十時までの予定でしたが、何時に終わったのか正確には知りません。私は、車で行ったため酒が飲めなかったので、途中で帰りました。九時前だったと思います」

「あっ、最後まではいなかったんですか。そうですか。そうなんですか。では、これも念のためですが、その後はどうされました？」

「車で家に帰りました。帰って、シャワーを浴びて寝ました」

「ご自宅は蒲田ですよね。何時頃着きました？」

「え、まだ何か？」

「いやいや、最後まで詰めておかないと後で叱られますんで。申し訳ありません」

「十時前には着いたと思います」

「そのこと、ご存知の方いますか？」

「いや、独り住まいですから」