「俺はきみの言葉をずっと信じてる」
それが錯覚ではないと、信じてしまう。
「だから信じて。──俺は」
私の顔を見つめて言うその顔は、日本中の誰もが知っている顔。
「俺の夢は、武道館百公演でもオリコン年間一位でもないよ」
そんな顔が、私の顔だけをまっすぐに見つめている。
「きみとずっと一緒にいることだ」
瞳に映っているのは私一人。スポットライトがないのに、大きなその瞳は光を宿している。その視線に射止められ胸に重みを感じた私に、彼が少し悪戯っぽく笑った。
「あ、アリーナもオリコンも夢っていうより目標だから」
その顔は得意げな笑みだった。いつも見ている顔だったから、何それ、と私も少し笑ってしまう。
「まあ今に見ててよ、夢を叶えるから」
星を見上げて彼は言った。星みたいに遠い存在のはずだった彼が言った。
「星より何より、俺に願いをかけてよ」
顎先を持ち上げられ、唇には期待を乗せられて、私は願う言葉を紡げなかった。