「それじゃあな知之、あんまり時間ないから帰るわ」
「おう元気でな、また会おうぜ」
修の後ろ姿を見送りながら、「この町が廃れていくなんて、残念過ぎるよなあ」近くにいた妹の梨沙が真剣な顔をして頷いた。
暫くすると、修が引き返してきた。
「おうなんか忘れもんか?」
「いや、今この近くの俺の家で飲み会をやってる、同級生もおるぞ」
「そうなんだ」
「ちょっと顔出せよ」
知之は、梨沙に声をかけて修の家に向かった。
「知之元気だったか? 久しぶりだなあ」真っ先に声をかけてくれたのは、幼馴染の康太だ。
「はよここへ座れや」見覚えのある顔の男性が手招きしている。知之は指定された場所に座った。
修が「この連中は、俺の強い味方だ、町を元気にするプロジェクトチームのメンバーだ。と言っても自分たちで作ったプロジェクトだけどな」
「なんとかしたいよな」
「なんとかせんといかん」
「知之は都会人だ、なんか面白い企画あるんとちがうか」
「いや~~そう言われてもなあ」
「知之、連絡先を教えろよ、これからちょくちょく俺らのことを知らせるわ」
「わかった、よろしく頼むぞ」
メンバーの話を聞きながら、〈試飲会プロジェクトの経験を生かして、何か役に立ちたい〉知之の心にかすかな灯りがともった瞬間であった。