「知、待たせたね、ごめん」史の息が上がっている。「急いで来たんだね。さあ美味しいものを食べるぞ、飲むぞーー」知之は努めて明るく言った。食事をしながら、笑顔を見せるものの、知之は時々遠い目をした。「なんか心配なことでもある?」史が訊ねる。「実は会社がね、海外に進出することになってね、超忙しくなりそうなんだよ」「そうなんだ。それより身体のほうはどうだったの?」「身体は大丈夫だよ。余り会えなくなるかも…
[連載]第二ボタンいただけますか
-
小説『第二ボタンいただけますか』【第6回】福岡 富子
「なんか心配なことでもある?」と彼女に聞かれたが、脊髄腫瘍になったことをどうしても伝えることができず、嘘をついてしまった…
-
小説『第二ボタンいただけますか』【第5回】福岡 富子
「なんでこの俺が?」突然自分の身に起きた不幸なできごとに打ちひしがれて…
-
小説『第二ボタンいただけますか』【第4回】福岡 富子
「私に第二ボタンをもらってほしかったんだ…」中学校の同窓会で再会して知った事実に二人の距離は急速に縮まっていき…
-
小説『第二ボタンいただけますか』【第3回】福岡 富子
いじらしい態度に「ずっと好きだ」という言葉を飲み込み第二ボタンを…
-
小説『第二ボタンいただけますか』【第2回】福岡 富子
突然握ってきた手をそっと握り返したあの日。そして、罪悪感を知ったあの夜…
-
小説『第二ボタンいただけますか』【新連載】福岡 富子
小雨で甦る遠い記憶。ほろ苦い思い出はまるで昨日のことのように鮮明で…