冥土みやげの酒話
「シンガニ」の乳搾り割り
南米ボリビアには、「シンガニ」というブドウの蒸留酒がある。15年物をロックで飲むと、他のどの酒とも似ていない香りとキリキリとした味わいとのど越しがたまらない。
ある日曜日の朝、南部の町タリハのホテルに、友人が牧場にシンガニを飲みに行くぞと来訪。何かは分からず牧場に着くとすでに何人かいて、屋外のテーブルには何本ものシンガニの瓶とコップ。のどかな屋外で昼酒の趣向かと思いコップを手にすると待てと言う。
牧場主が、雌牛を引いてきて広場の杭に繫いだ。友人たちは、やおらシンガニをコップに半分ほど注いでいる。乳を飲んでいる子牛をちょっとどかして、皆、乳搾りを始める。うまくコップの中にじゅゎーじゅゎーと搾り入れる。
温かい牛乳の甘さととろみの中にシンガニのキリキリ感が残っていて、のど越しは牛乳とは全く違う。雌牛を2頭おかわりして日没近くまで美味しく飲んで、気持ちよく帰った。
しかし、それから2日間、牛乳の雑菌にやられてホテルで悶絶。人生、良い思いと悪い思いは、釣り合いがとれているのだなと身をもって納得してしまった。
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