【前回の記事を読む】僕はますます涙が溢れてきた。こんな終わり方ってあるのか。あんまりじゃないか。いきなり過ぎるだろ…

戦力外通告

第三ユニットのリーダーは、立花さんだ。

スラっとした高身長によく似合う紺色のスーツを着ていて、黒い髪は清潔に整えられている。立ち姿も様になっていて、もともと僕とは話は合わなかったが、ちょっとした憧れは感じていた男だ。今はこの人の姿が目に入るだけで虫唾が走る。

「おはようございます。第三ユニットの発表を行います。三月は目標金額に対し、達成率一二八%で無事に達成しております。今月もこの調子で目標数字を大きく上回る結果を出したいと思います」

第三ユニットのメンバーや女性社員が立花さんを頼もしそうな目で見ている。確かに、いかにも自信に満ち溢れているその姿は、理想の上司らしい風格がある。でも、今の僕はその頼もしさが余計に腹立たしかった。

各ユニットの発表が終わり、武田支店長が話し始めた。

「ええ、先月も結果が出たユニットと出なかったユニットがある。それも毎月同じような顔ぶれだ。各ユニットのリーダーは、しっかりと反省をして、今月は必ず目標を達成するように。わかったか!」

支店長の叱責が響き、フロアの空気はさらに緊張感が増した。そして、一人の社員の名前をあげた。

「それと、竹下」

「えっ、あ、はい」

入社二年目の竹下だ。なぜ名前を呼ばれたのかわからないのか、キョロキョロと周りを見渡している。だが、誰も視線を合わせようとはしない。

「お前はいつになったら契約するんだ? 二年目でまだ契約していないのはお前だけだろ」