しかし最近では、ワルファリン以外の新しい抗凝固薬が4種類も使用可能になっていて(NOAC;ノアックと呼ばれます)、ワルファリンと同等、あるいはそれを上回る効果、すなわち出血などの副作用の減少効果があることが証明されています。
さらにこれらの薬は、ワルファリンのようにたびたび病院で採血検査する必要がなく、納豆などが食べられないといった食事制限もありません。
心原性脳塞栓症は脳梗塞の中でも特に恐ろしい病気ですが、一方で詰まった血栓を溶かす治療であるrt-PAによる血栓溶解療法(後述します)の有効性が高く評価されてもいます。
日本で行われる血栓溶解療法の60~70%は心原性脳塞栓症であると報告されています。さらに、rt-PA療法で効果がなかった場合、カテーテルにより血栓を除去する治療を追加することで、症状が良くなる場合があります。
心原性脳塞栓症の最大の危険因子である心房細動は、脳ドックで行われる心電図検査で調べることができます。
しかし、発作性の場合は短時間の心電図では見つかりませんので、小型の携帯心電図を体に装着して24時間測定するホルター心電図検査を行います。また、実際に心臓内に血栓が存在するかどうかは心臓エコーや経食道エコーで分かることがあります。
繰り返しになりますが、普段の生活の中で、動悸を感じ、脈がバラバラになっているようであれば、循環器内科を受診してみてください。特に、心房細動があれば、脳梗塞を防ぐためにワルファリンかあるいは新しい抗凝固薬を飲む必要がないかどうかを医師によく訊いてみてください。
また、心房細動のある方に脳梗塞を疑う症状(突然生じる半身の麻痺、しびれ、言語障害、目が見えにくくなる、めまいなど)が出現した場合は、脳卒中治療は一分一秒を争いますので、躊躇せず脳神経の専門病院を受診してください。